所信表明

更新日:2024年04月01日

上野俊市町長は、6月10日(木曜日)に開会された令和3年第2回さつま町議会定例会の本会議で、町政運営について所信を述べました。

(補足)所信表明とは、町長が任期の4年間を見通した政策の方向性について、選挙後に開催される町議会定例会の本会議で表明するものです。

はじめに

令和3年の6月定例議会が開会されるに当たりまして、私にとりまして就任後最初の定例議会でありますので、今後の町政運営に対する私の所信と決意の一端を申し上げ、議員各位をはじめ、町民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

先に執行されました町長選挙におきまして、無投票・初当選という身にあまるご審判をいただき、誠に光栄に存じます一方で、全面的な信任を受けたものではないと捉えておりますことから、広く町民の皆様の声をお聴きし、町政に反映させることが私に課せられました責務であり、その重大さに改めて身の引き締まる思いであります。

議員各位におかれましては、町民の大きな期待の中でのご当選となられた喜びもひとしお大きいと存じます。今後、議場の場に限らずあらゆる場面で町政運営に対しまして、改めて絶大なるご協力をお願い申し上げます。

さて、日本の総人口が減少時代に転じ、少子、高齢化と相まって社会経済システムの持続可能性が危惧されております。立候補を表明した後、各地域に足を運んでみましたが、予想以上に人口減少と高齢化が進んでいることを実感したところであります。

また、世界中に広がった新型コロナウイルスの猛威は、今もとどまるところを知らず、わが国においても、3回目となる緊急事態宣言が発令、さらに延長されるなど、経済をはじめ様々な分野にも大きな影響を与えております。

このような中、私は、新たに町政運営を預かるに当たりまして、新型コロナウイルス感染拡大により影響が大きい地域経済の需要喚起やワクチン接種対策を進めながら、人口減少対策を重要課題として位置付けております。

これまでの行政経験と先人たちが築き上げてこられた歴史を見つめ、さつま町の時代を担う人々が、「夢と希望のあるさつま町の未来を創る」ため、自分の目で確かめ、また、町民の皆様からのご意見をお聴きしながら、大胆かつスピード感をもって、6つの実行目標に取り組んでまいります。

実行目標を進めるに当たりましては、第2次さつま町総合振興計画をはじめ、各種の計画との整合性を図りながら、短期的に実現可能なもの、中・長期的な時間を要するものなど確実に政策に反映していきたいと思う次第であります。

なお、所信の基本姿勢につきましては、実行目標に掲げた内容に基づきながら述べさせていただきたいと思います。

6つの実行目標

安全で安心して暮らせるまちづくり

自主防災組織については、近年、気象変動等による風水害の局所的な激甚化や頻発化の一方で、高齢化と人口減少に伴い、災害対応への人手不足が懸念されるため、安全で安心な地域の構築に向けて、防災意識の普及や人材育成による組織強化に取り組んでまいります。

避難体制については、高齢者をはじめ町民の方々が、自助、共助により、安全で迅速に避難できる体制づくりを図るとともに、公民会、自主防災組織が自主的に運営する避難所への支援なども検討してまいります。また、町民が不自由なく避難できるよう、指定避難所のバリアフリー化も進めてまいります。

消防体制については、消防救急体制の充実と併せ消防業務の広域化も検討するとともに、地域防災の要である消防団員の確保に向けて、一層の処遇改善に努めてまいります。

新型コロナウイルスワクチン接種については、65歳以上の高齢者の方々の7月末の接種完了を目指しており、薩摩郡医師会の協力をいただきながら、重症化のリスクが高い高齢者への接種を行ってまいります。また、その他の町民の方々につきましても、国や県からの接種方針に基づきながら、円滑な接種ができるよう、万全を期して取り組んでまいります。

地域医療体制の充実については、これまでの各種支援事業を継続しつつ、今後も県や鹿児島大学病院と連携をしながら、引き続き薩摩郡医師会病院の医師確保支援などに努めてまいります。

高速通信網の整備については、令和2年度に整備が完了した鶴田・紫尾局エリアをはじめ、町内全域の年度内整備を目指し、企業や一般家庭におけるインターネット環境の充実を図ってまいります。

稼げる農林業・商工業の推進

新型コロナウイルス感染拡大が全国的に広がりをみせるなか、本町においてもこれまでに10数名の感染者が確認され、町内の経済へ大きな影響を与えております。

このようなことから、事業者への事業継続緊急支援金をはじめ、2回目の町民一人当たり1万円の商品券を交付し、町内経済の需要喚起対策を図るとともに、感染状況を見据えながら、更なる支援も検討してまいります。

ブランド化の推進については、JA北さつま・商工会・行政が連携し、農畜産物や特産品をはじめとした地域産品のブランド力を高め、地域への愛着と誇りの定着を図るとともに、事業者などの収入増に繋げてまいります。

農業の振興については、耕地面積の約7割を占める水田の排水対策を含む基盤整備等を積極的に推進し、作業性の向上を図りながら、おいしい米の生産を進める一方、野菜等の高収益作物の作付けにより収益性の向上を目指してまいります。

6次産業化の推進については、令和2年3月に策定した6次産業化推進戦略に基づき、地場産品を活かした農林水産業のまちづくりに向けて、農産物加工施設等整備事業などの実施により、農産物加工業者の育成を行いながら、所得向上に努めてまいります。

スマート農業の推進については,作業の省力化や生産性の向上のために,農業機器実証試験の実施や農業機器の導入を積極的に推進してまいります。

有害鳥獣対策については、「寄せ付けない、侵入を防止する、個体数を減らす」をバランスよく実施しながら、農林業者の生産意欲が減退しないよう対策を強化してまいります。

肉用牛の振興については、畜産基盤再編総合整備事業や畜産クラスター事業を積極的に導入し、生産基盤の確立・強化を図ります。また、優良雌子牛の保留・導入に対する支援も行いながら、商品性の高い子牛の生産と上場頭数の維持・拡大を図り、農家所得の向上に努めてまいります。

家畜防疫対策については、家畜保健衛生所等と連携し、消石灰の配布や車両消毒機器の助成などを実施し、家畜防疫体制の確立を図ってまいります。また、牛伝染性リンパ腫対策についても、全頭検査体制を確立するための検査料助成や感染防止に効果的とされる分離飼育のための支援も検討してまいります。

担い手への支援については、認定農業者,認定新規就農者、集落営農など持続可能な農業経営に向けて、国・県事業の導入や、人・農地プランの実践を関係機関と推進するとともに、農地バンクの活用を積極的に進めるため、農業委員会とも連携して、事業の効率化を進めてまいります。

農業基盤の整備については、柊野地区で実施されている中間管理機構関連農地整備事業や中山間地域農業農村総合整備事業など、県営土地改良事業を中心として、生産基盤の整備・強化を進めてまいります。

林業については、竹林改良や管理路の整備等により「さつまたけのこ」の産地化に取り組むとともに、森林整備等補助事業の推進や森林環境譲与税を活用した地域林政アドバイザーの配置及び森林所有者への意向調査の実施など、林業経営の効率化及び森林管理の適正化に努めてまいります。

地場産業の育成については、現在の支援を継続・充実させるとともに、町内企業が稼ぐ力と魅力向上に繋がるよう、それぞれの企業の特色を生かした「わが社の逸品(仮称)」づくりへの支援など、新たな起業、創業支援を検討してまいります。

企業誘致については、企業立地促進助成事業の拡充を図るとともに、誘致企業の本社訪問をはじめ、あらゆる産業分野における新たな企業についても、鹿児島県と連携しながら情報収集に努め、積極的に進めてまいります。

学校、家庭教育の充実と地域振興

教育の推進については、さつま町教育大綱の基本理念であります「さつまの挑戦 未来を拓く 人づくり」の実現に向けて、第2次さつま町教育振興基本計画に基づき、各施策の推進に努めてまいります。

学校施設の整備については、教育環境の質的向上、安全・安心の確保を念頭に置きながら、時代の変化に適切に対応した建替えや改修を含めた環境整備と児童生徒が安心して学び、生活できるよう安全対策に努めてまいります。

通学路対策については、児童生徒が安心して通学できるように、交通安全、防犯及び防災の観点に基づき、スクールガードリーダーによる登下校時の巡回指導や安全施設の設置,路肩のカラー舗装等の対策を推進するとともに、学校再編等により交通環境の変化や通学路の変更があった箇所については、学校、教育委員会、関係機関等が連携して必要な対策を講じてまいります。

学校規模の適正化については、令和4年4月の新鶴田小学校の開校に向けて再編準備委員会での協議を行いながら、ハード・ソフトの両面から準備を進めるとともに、引き続き、第二次学校再編計画の推進に取り組んでまいります。

学校教育については、郷土に誇りを持ち、志の高い子どもを育てる教育と、ふるさとを愛する心の教育の充実を図るため、社会教育と連携して、本町や各校区の特色を生かした郷土教育「さつま学」を推進するとともに、本町の自然や人、文化,歴史と触れ合う様々な体験活動を通して、感謝する心や感動する心など、豊かな人間性を育ててまいります。

また,本町の未来を担う子どもを育成するために,幼稚園・保育園等と小学校の連携を強化し,義務教育の基盤づくりを図るとともに,基礎・基本の確実な定着とICT機器等の効果的な活用による授業づくりを通して,子どもたちの学力向上に努めてまいります。

家庭教育の推進については、基本的生活習慣の向上を柱に「“早寝・早起き・朝ごはん”運動による体力向上と自立の精神の醸成」と連動しながら、生活習慣の改善に取り組んでまいります。

宮之城学校給食センターについては、安全で安心できる学校給食を安定的に提供していくために、調理・配送業務の民間委託に向けた取り組みを進めてまいります。

薩摩中央高等学校の振興対策については、公立・私立を含みます多様で幅広い選択肢の中において、生徒の向学心や進学志向、職業観、社会観の育成等を踏まえた魅力ある取り組みを、関係者一丸となり実績を積み上げながら、情報発信や対話を通じ、粘り強く丁寧に進めてまいります。

地域振興については、少子高齢化により地域の支え手が減り、地域のコミュニティ力が低下し、地域の存続が危ぶまれていることから、各区公民館で策定されました「地域づくり活性化計画」に基づき、地域課題の解決や活性化について、地域と一緒になり取り組むとともに、地域拠点や地域交通、地域福祉活動などの地域力の強化を図るため、ハード・ソフトの両面からの環境整備にも取り組んでまいります。

さつま町で産み、育て、安心して暮らせるまちづくり

子育て支援については、子どもは地域の宝であり、町の宝でもあります。子どもを健やかに産み育て、安心して暮らせるまちづくりが、出生数の増加にも繋がるものと考え、出産・子育て環境の充実と、子育て世代包括支援センターを中心に出産前からの切れ目のない、各種支援の充実に努めてまいります。

児童虐待対策については、地域社会のつながりの希薄化等により、子どもと家庭を取り巻く環境が大きく変化しており、妊娠期から子育て期にわたるまで関係機関が連携し、児童虐待の発生予防などの支援を実施していくことも重要でありますことから、児童福祉分野と教育分野等の連携体制も強化してまいります。

少子化対策については、本町独自の保育料の軽減制度、副食費の一部助成、子ども医療費の助成、こうのとり支援事業も引き続き実施してまいります。

児童療育支援については、昨年7月に「児童発達支援センター」が開設され、支援の拠点ができました。今後も早期療育に繋げられるよう、保育士等の研修を実施するなど、関係機関と連携した支援体制づくりを進めてまいります。

高齢者対策については、住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう、高齢者福祉サービスの充実と併せ、地域支援事業の実施による介護予防の普及啓発や介護予防事業への参加促進を図るとともに、社会参加と生きがいづくりの場の提供や環境づくりを進めてまいります。

また、生活支援サービスや介護給付サービスなどの提供体制の確保、在宅医療と介護の連携、地域における相談・見守り体制の強化、認知症対策など、高齢者を地域全体で支える体制づくりを進めてまいります。

障がい者対策については、住み慣れた地域で安心して、いきいきと暮らすことができるよう、「障がい者計画」等の見直しを行ったところであります。

その事業計画に基づき、共に支えあい自立した日常生活や社会参加を推進するため、各種障害福祉サービス等の提供体制の確保とともに、サービスの充実に努めてまいります。

町民の健康づくりについては、「第2次健康さつま21」を基本に、健康さつまポイント事業等の推進など、町民一人ひとりが主体的に取り組む健康づくりを支援してまいります。

特定健診については、健診の結果によるリスクに応じた個別指導や訪問活動を行い、対象者の生活習慣改善や健康維持増進、重症化予防に引き続き努めてまいります。

人権問題については、同和問題をはじめ、障がい者・女性・子ども・高齢者などあらゆる多様性を認め合い、誰もが対等な一員として暮らし、一人ひとりが力を発揮できる社会の実現に向け、地域・職場・学校などあらゆる場における人権学習・啓発活動を進め、人権尊重意識の高揚に努めてまいります。

多文化共生社会の推進については、増加傾向にあります外国人を、地域社会を構成する一員として安心して生活することができるよう、事業者、地域、住民、行政など関係機関と連携しながら、取り組みを進めてまいります。

定住対策については、新規就労者や雇用企業への支援をはじめ、住宅取得者への助成金制度や若者等に対する家賃補助など定住促進対策を図り、人口減少の抑制に努めてまいります。

なお、人口減少対策を総合的に検討する組織を役場内に設置し、町民の皆様の意見等をお聴きしながら、移住定住、雇用促進など幅広い見地からの対策を検討してまいります。

交流、関係人口増対策

観光振興については、本町には、多くの観光資源があり、国土交通省のインフラツーリズム魅力倍増プロジェクトモデル地区に選定された鶴田ダムをはじめ、それぞれの資源が点ではなく線となり広域的な観光振興に結び付け、滞在型の観光への取り組みを進めてまいります。

地域高規格道路「北薩横断道路」については、唯一の未事業化区間でありました「宮之城道路」が本年3月に事業化が決定いたしました。今後も、鹿児島県をはじめ関係各機関と連携を図りながら全線の早期開通に向けて、最大限の努力を傾注してまいります。

県立北薩広域公園の整備については、最後のゾーンであります「歴史ゾーン」の早期整備と「ふるさとゾーン」「のびのびゾーン」の園内施設等の充実が図られるよう、関係団体等への要望を行ってまいります。

ふるさと納税については、さつま町を応援したい方々を増やすための魅力発信に努めるとともに、ポータルサイトの増設や事業者と一体となり寄附者のニーズにあった返礼品の充実を図り、寄附件数及び寄附金の増加に努めてまいります。

交流人口対策については、県内外や町内関係機関と連携しながら、各スポーツ競技団体へのアプローチを積極的に行い、滞在型スポーツ合宿誘致や大会などを開催することで、観光PRと町の地名度アップを図り、交流人口増へ繋げてまいります。また、文化の振興を図りながら、新たな文化施設の整備に向けた具体的な検討を進めてまいります。

出会いの機会の創出については、適齢期の男女の出会いの場が少ない現状から、関係機関団体と連携を図りながら、出会いの機会・交流の場の創出に努めてまいります。

行財政改革の推進

行財政改革の推進については、第4次さつま町行政改革大綱及び同推進計画に基づき、効率的・効果的な運営を進めるとともに、職員一人ひとりの意識改革と資質向上を図り、町民の皆様方に目配りと気配りと思いやりを持った行政サービスに努めてまいります。

また、行政へのニーズが複雑化・多様化する中で、職員の育成を含め民間からの専門的な人材の登用も検討してまいります。

女性の社会進出については、役場内におきましても管理職等への積極的な登用を進めてまいります。

行政のデジタル化については、本町におけるデジタル化の課題やSDGsなどの新たな社会環境の変化を見据え、更なる行政サービスの向上や効率化に取り組んでまいります。

財政については、新型コロナウイルス感染の影響、人口減対策、社会保障費の増加など厳しい状況が続いているため、多様化する住民ニーズを的確に捉えながら、自主財源の確保を図るとともに、事務事業評価による検証、予算の重点配分や事務事業の見直しなどを行い、健全で安定した運営に努めてまいります。

おわりに

以上、私の町政運営に対する所信の一端を述べましたが、同時に職員に対しても町政への取り組む姿勢を明確に指示・伝達を行い、コミュニケーションを密にしながら、政治信条であります「為せば成る」のもと、前例にとらわれず、町民の皆様と共に知恵を絞り、汗をかきながら、さつま町の新たなまちづくりのため、全身全霊、努力を傾注してまいる所存でありますので、議員各位をはじめ、町民の皆様のご理解とご協力をいただきますようお願い申し上げ、私の所信表明といたします。

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